Übrigens... ~ それはそうと・・・


 ドイツ語の [R] の発音は日本人には大変むづかしいものです。[L] と区別するために強くはっきりと発音しましょう。この点は英語も同じで、あるアメリカで学ぶ日本人の留学生が英語で「日本人は毎日お米 (rice) を食べます」というつもりが「しらみ (lice <-- louse の複数形) を食べます」と発音してしまって相手をびっくりさせた、という話を聞いたことがあります。同じように日本人に区別しにくい発音に right と light 、erect と elect 、correct と collect などがありますね。結局、日本人には [R] と [L] が聞き分けられないから、発音もできないわけでしょう。

 友人に東京の下町生まれの下町育ちというちゃきちゃきの江戸っ子がいますが、彼は「百円玉を拾った」というときに「しゃくえんだまをしろった」としか言えず、仲間で大笑いになりました。つまり「ひ」と「し」の区別ができないわけです。でもこれは彼の耳と舌がおかしいわけではなく、生まれた地域の「なまり」なのですね。

 韓国のひとたちも「かんこく」という発音が難しいそうで、どうしても「かんごく」になってしまうようです。「私は韓国から来ました」が「私は監獄から来ました」になってしまったら、日本人は変な顔をしそうです。

 結局、ドイツ語の [R] の発音は、喉の奥をうんと狭めると舌の奥がノドビコあるいはノドヒコ(ノドチンコ)に触れ、震えたノドビコからルルルルという音になります。これを「うがいをするように」発音するとかなり近い音になるようです。アクセントがある音節で発声を強調すると、このルルルルという音がでますね。[G] を発音するとき喉の奥が口の中の上面に触れますが、この触れる位置をノドビコへ移動すると、このルルルルになります。実際、ドイツ人の発音を聞いていると [R] が [G] みたいに聞こえます。ですからドイツ語の Rand は [ラント] と [ガント] の中間のように聞こえるのです。

 同様に [L] の発音は小さな [ゥ] を前につけるつもりで発音するとわりとうまくいきます。Land は[ゥラント]と発音してみてください。

 いちばん簡単なドイツ語の [R] の発音の練習方法は、コップの水をうがいをする時のように少し口にいれて、それを喉の奥で「ガラガラガラ」と鳴らし、その状態で [エル] という発音をすると [エグ] という音に聞こえます。だんだん水を減らしてついには水なしでもその音が出るようにすると、うまくいきます。