Übrigens... ~ それはそうと・・・


 フンボルトという人名をとりあげたついでに、ドイツ人の人名をみてみましょう。ドイツの姓にはかわったものがたくさんあります。

 ヨーロッパで姓を名乗るという習慣が定着したのは16世紀ごろですが、ユダヤ人はドイツでは自分の国ではなかったためかはじめは姓を名乗ることが認められていなかったのですが、領主や王たちはユダヤ人に姓を「売りつけ」てお金をせしめたのです。名前としては主に地名や職業名を名乗っていたドイツ人と区別するために、岩石や動植物などの名称を名乗らせました。しかも「高級な名前」には高い税金を課したのです。

 例えば Bernstein[ベルンシュタイン]とは「琥珀」なのですが、この名前は大変高価だったそうで、アメリカの指揮者として有名だったレナード・バーンスタインの先祖はこの名前にいくらくらい払ったのでしょうか。それにひきかえ Stein[シュタイン」というのは「石」という意味で、物理学者のアルベルト・アインシュタインはアインが数字の1ですから「一石」さんというわけで、非常に安い名前だったのでしょう。

 有名なユダヤ人の財閥一族である Rothschild[ロートシルト]はもとはフランクフルト在住でした。イギリスでは英語読みになって[ロスチャイルド]と読み方も違っていますが、本来はドイツ語の roth=rot[赤い」 Schild[楯]つまりフランクフルトの市の紋章となっている、真ん中に鷲を描いた「赤い楯」に由来しています。当時ユダヤ人は一定の地域に住むことを強制されていましたが、その地域の入り口に架けてあった赤い楯を自分たちの姓にした、と伝えられています。